joh

 日本に来て随分と経ちますがいつもふるさとを思う時、すぐに故郷の味を思い出します。
特に思い出すのが北京ダックです。
 外国人が一番多く訪れる中国の都市は北京です。北京を訪れた方は、ほぼ必ず北京ダックを食べます。食べた後必ずと言っていいほど、「北京ダックはとてもおいしい。でもなぜだかわからないが、北京の北京ダックは、他のどの地方で食べる北京ダックよりもおいしい」と言います。その理由は簡単です。本物の北京ダックは、ある良質な鴨を使って作っています。それは、現在世界で最も良質な鴨肉の一種である北京鴨なのです。
 歴史書によると、この純血北京鴨の飼育は約二千年前に始まったと言われています。
遼、金、元の皇帝が北方の草原で狩りをし、純白の鴨を射止めた後人工飼育を始めて以来ずっと、現在まで良質な品質が有るのです。また、この種の鴨は北京にしかおらず、他の地方には同品種の鴨はいません。
 さらに、北京ダックの作り方は中国料理人の数百年の改良・進歩を経たため、中国美食文化の最高峰といえる境地に達しました。特に重要なのは鴨を炙る燃料は必ず枣(ナツメ)、桃などの果実の木を使用することです。そうすることで、鴨肉が一番おいしくなるのです。
 最後に簡単に北京ダックの食べ方をご紹介します。北京ダックを食べるのに一番いい季節は秋です。それは、この時季の鴨が最も脂がのっており、気温や湿度も北京ダックを作るのに最も適しています。一羽の北京ダック約2キロから100片もの肉片を2分30秒以内に必ずそぎ落とさなければいけません。そうしないと鴨肉の食感が落ちてしまいます。小麦粉を薄くのばして焼いた餅(ビン)に、鴨肉・ネギときゅうりの細切り・テンメン醤をのせ巻いて食べます。そぎ落とした残りの鴨はスープにできます。スープの味はとてもあっさりして、これもまた美味です。北京ダックにはたくさんのビタミンに微量の元素、各種アミノ酸が含まれていて身体にとても良いです。(ちなみに北京ダックの最も伝統あるお店は“全聚徳烤鸭店”です。)
 みなさんも秋に北京に旅行に行く際はぜひこの伝統の集約された北京ダックをご賞味ください。そうすれば必ずや、世界3大料理である中国の食文化を体感いただけることでしょう!

joh-2