現在、私は母校ラグビー部のOB会長という大役を仰せつかっておりますので今回はゴルフではなく(笑)ラグビーを語るときに必ずと言っていいほど取り上げられる言葉「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」について書かせて頂きます。この言葉、「座右の銘」とおっしゃる経営者の方や基本方針に掲げておられるのもよくみますね。15人対15人というスポーツの中で最も多い人数で競技するラグビーのチームプレイを表す美しい言葉として広がりました。実はこれ、フランスの小説「三銃士」の中で使われた言葉なのですよ。
皆さんご存じの訳は「一人は皆の為に、皆は一人の為に」ですね、ところが本来の訳はall for oneのoneはvictory「勝利」と訳しているのだそうです。つまり「一人は皆の為に、皆は勝利の為に」が正解なのです。どうでも良いといえばどうでも良いのでありますが…(笑)
あえてこだわらせて頂きます。この勝利という部分は目標としてもよいでしょう。どんなに優れた選手でも一人でやるには限界があります。ところが力を合わせてやれば1+1が3にも10にもなる。これがチームプレイの素晴らしいところなのですが、それには前提条件がある。それは「一人ひとりが『自立』した大人である」ことが必要なのだ。つまりは、一人ひとりがきちんと同じ方向を向いている事、『勝利』『目標』に向かって自分の足で立っていること。チームの一員として他のメンバーに甘えたり、寄りかかったりしない、大人の集団であることが最も大事です。
考えてみてほしい。一人前にも満たない未熟な技術と精神性しか持たないプレイヤーばかりが集まったチームを。はたしてそんな一人前にも満たない「烏合の衆」が集まった時に「相乗効果」が発揮されるだろうか?同じ方向を向いていない人間を助ける気になるだろうか…?
まずは方向性、理念を共有しよう。そして自分の足で立つことから始めよう。一人で立てもしないうちから“All for One”「一人のために」と、「助けられ合い」をするのは止めよう。泳げない人は、溺れている人を助けることはできない。まずは自分の足で「勝利」へと向かって立つ。そして「相乗効果」を発揮して「勝利」をつかむのだ。
そういうことを考えながら今回のサッカー日本代表を振り返った。紙面がないので細かな事は省きますが去りゆく監督ザッケローニ、主将長谷部選手、長友、内田、控え選手のインタビューどれもすばらしかった。少なくとも同じ方向を向き「日の丸」を背負って闘ってきたのが伝わってきた。彼らは少なくとも現日本の最高の選手たちなのである。でも勝てなかった…最後に本田選手の言葉で締めくくります。
「僕は目標を変えると言ったつもりはないし、世界一を諦められないということは前にも言いました。むしろ世界一のための作業が過去4年間違っていたならば、正解は何なのか…。それをもう一度、一から見つけたいと思っています」
最高の集団でも負ける事もありますよ。でもいいじゃないですか、彼は謙遜して1からと言っているが私は決して1からではないと思う。全力でやってきた証がある。ブラジルで直面した全てを糧に出来る。だから次に向かっていける。サッカーの戦術はよくわかりませんが会社や組織運営においてもここが凄く大事な気がしてなりません。