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昨年 平成21年ほど一年が早く過ぎ去った年はありませんでした。
一昨年9月のリーマンショックから百年に一度といわれるような世界不況に突入、米国ゼネラルモーター社の倒産や日本のトヨタ自動車の60年ぶりの赤字転落等々・・・。
このような状況の中ですが弊社はおかげ様で創立満60周年を迎えることが出来ました。
しかし、今や大幅な売上の落込みで悪戦苦闘の毎日です。
京都清水寺の昨年の漢字一字で表わす世相は「 新 」でした。
なるほど、昨年は60年以上続いた自民党政権が倒れ新しく鳩山代表の民主党政権が誕生しました。又、スポーツ界ではプロゴルファーの石川遼選手(18才)が賞金王の最年少記録を更新した等々・・・。
この「 新 」という言葉の意味するところは仏教でいうところの「 諸行無常 」ということでしょうか?
この日常的に使われている「 諸行無常 」という言葉を調べてみますと・・・
これは・・・
涅槃経の雪山偈(せっせんげ)といって、お釈迦様が前世に雪山(ヒマラヤ)の麓を修行中、羅刹(食人鬼)に身を与えて後半偈を教えてもらったといわれている世界で一番短いお経だそうです。
即ち 「 諸行無常 」 「 是生滅法 」 「 生滅滅已 」 「 寂滅為楽 」の4句の偈です。
この雪山偈が日本に渡ってきて日本語に訳されたのが、平安時代に作られたあの“いろは歌”だそうです。

○色葉匂へど散りぬるを 諸行無常(しょぎょうむじょう)
○我世誰ぞ常ならむ 是生滅法(ぜしょうめっぽう)
○有為の奥山今日(けふ)越えて 生滅滅已(しょうめつめつい)
○浅き夢みじ酔(ゑひ)もせず 寂滅為楽(じゃくめついらく)

この“いろは歌”はひらがなを一つの重複もなくこれだけの内容を一つの歌に纏めた作者は只者ではない“空海”だ“柿本人麻呂”だと言われていますが不明です。 この“いろは歌”は従来の和歌の「五七五七七」の形式に対して「七五七五・・・」の七五調という軽快なリズムが当時、現代的だということで、今様(いまよう)といわれ、この形式が今に残っている歌の一つが“黒田節”です。 従って“いろは歌”は黒田節のメロディーで歌うことが出来ますので一度試してみて下さい。 この歳(63才)になると、この「諸行無常」という言葉がつくづく身に沁みます。 何の疑いもなく当然そこに在ると思っていたものが突然無くなったり、親しくお付き合いをしていた方が急に幽明界を異にすることになったり若い頃には思ってもみなかった寂しさを味わうようになりました。 しかし、この様な大変化の中、無限の過去から多くの方々に伝えて頂いた様々な業(わざ)を次の世代に伝えゆく責任の重さをつくづくと感じている今日この頃です。