2015年9月19日 ラグビー日本代表が南アフリカに34-32で歴史的な勝利をおさめた。海外ではW杯史上最大のジャイアントキリング=番狂わせと報じられた。翌日マスコミ各社も今までにないくらいの力の入れかたでTV、新聞等ラグビーを取り上げた。
私は深夜、スポーツバーで40人くらいの仲間とライブ観戦していた。試合の途中から涙を流す者、大声をあげる者、試合終了時は誰かれかまわずハイタッチするもの、抱き合うもの、その瞬間を共有し喜びを分かち合った。翌日からは、ラグビーを知らない友人達とも「凄い試合やったね 感動したよ」「鳥肌がたった」「涙が出た」などいろんなところで話が弾んだ。
ところで、涙が出るほどの感動をラグビー経験以外の人に何故与えることができたのだろうと考える…試合終了間際、同点のショットを狙わずに逆転のトライにこだわったからだろうか?結果成功してあの美酒を味わうことができたのも事実だ。でも私は、やっぱりラグビーの醍醐味“タックル”だと思う!大きな相手に向かうときの痛さ、恐怖、経験者なら誰でもわかる逃げ出したい衝動。しかし、いかなければならないのだ。プライドと責任感に背中を押される。ラグビーをやりはじめたころ、恩師にタックルしきらんものは選手である前に男ではないと教わり、それが今でも頭に残っている。仲間のためチームのために身体を張ってとめなければならない、自分が逃げれば誰かにチームに迷惑がかかるのだ。勿論、タックルミスで外されることもあるが、毎日の血反吐を吐くような練習や試合の中で生まれた信頼は揺るがない、それが逃げたのかそうでないのかはすぐに伝わるのだ。だから、近くのものがカバーできる。一人で倒れないなら二人三人でカバーする。そしてまたすぐに立ち上がり次のデフェンスにむかう。大男にしゃにむに向かっていく、その勇敢な男たちの姿に感動を覚えたのだと思う。
ラグビーは数の陣取りゲーム、相手一人に二人三人がかりでは当然不利な状況が生まれる。だから、相手よりも1.5倍2倍と走らなければ間に合わないのだ。これまでの日本は、後半に力尽きじりじりと点差をあけられていた。その差を補うために世界一の練習量で埋めてきたのが今回の代表選手たちなのだ。
ここからは個人的な推測ですが、今回の代表メンバーには、いつにないプレッシャーがあったと推測する。己のプライドやチームのためだけでなく、4年後に日本で行われるW杯を盛り上げるため、全国民にラグビーの素晴らしさを知ってもらうため、無様な試合はできない。おそらく協会からの至上命令もあったことと思う。それでもあなた方は、その重責を十二分に果たしてくれた。ラグビースクールに通う少年少女達に夢を与えてくれた。大人たちにも魅せてくれた。
2019年、日本で、そして福岡でも開催されるラグビーW杯が大いに盛り上がることを祈念する。
あらためてブレイブブロッサムズ(勇敢な桜戦士達)よ、お疲れさまでした。