マイオアシス
 私の仕事は英語講師です。現在3つの小学校で外国語活動を受け持っています。コロナのニュースばかりで気が滅入りがちですが、教育現場は止まりません。

 今は学校も希望すればオンラインで授業が受けられるようになり、先生たちは対面とオンラインのハイブリッドで授業を進めるというむずかしい状況で日々頑張っています。オンラインレッスンは、子供がイヤホンをしない限り、家の生活音をすべて拾います。突如鳴り響く野菜を刻む音。滝行のように水を流す音。お母さんがお兄ちゃんを叱りつける怒鳴り声などなど。一番困ったのはお父さんが腹筋をする時の声。ほかの子供達は「なんだなんだ」とざわつきだし、慌てて全員をミュートにします。

 子供達はなんでも吸収するもので、この2年でオンライン授業の受け方が格段にうまくなりました。なにも言わなくてもミュート(自分の音声を消す=家の音を消す)ができるし、自分が発言する時は慣れた手つきでミュートを解除します。

 対面とオンラインの両方がいるハイブリッド授業では、オンライン組を黒板に写してクラスの仲間たちとの一体感を確かめ合う先生がいます。家にいたって教室にいる気分を味わえてみんな笑顔になり、先生の底力を感じます。

 しかしこれにはまた新たな問題が見つかりました。生徒たちはミュートで音を消す事には成功しましたが、家族は普通に家にいるので不用意に写り込む事多数。

 黒板いっぱいに写し出された画面に突如寝起きのお父さんが油断するにも程がある姿で階段から降りて来た時、それまで笑っていたオンライン生徒は必死で手でお父さんを隠してました。状況をわかっていないお父さんは陽気に息子に話しかけます。隠されているのに。
 子供達はすべてに順応してさまざまな制約の中でできる限り日常を楽しんでいる姿を頼もしく感じます。一方一日も早くコロナが終息し、ハイブリッド授業が終わる日を心から祈ります。